X’masプレゼント

『あーなんちゃないほんまになんものーなってしもーたなんちゃない なんちゃないなんちゃないったら なんちゃない なんちゃーない』


『以蔵と申したな 許せ致し方なかったわしにも悔しさが残る。やけを起こすでない、無謀に斬っても己を滅ぼすだけじゃ。斬る時を待たねばいかん。これから大きな変革を果たす、剣を使うのはその時だ。イゾウおまんはいい腕をしちょる。じゃが今は野良犬の戦法じゃなればわしの道場で人になれ!武士になれ!』

『入れて貰えるがですか!わしを道場に!』


『俺が誘ったがです!って戸田さん言ってくれますろうか』『おまん女は抱きとうないのか?』『そりゃまぁちいっとは』

『お〜やっぱり竜馬じゃないか!』『竜馬〜イゾウ〜竜馬〜イゾウ♪』

『おまんまっこと凄い事ゆうたの〜先生剣で世の中を変える時がきちょる』『竜馬の言う通りかもしれん!われらこれより日の本の志士ぞ!!』

『戸田さんそりゃひどいぜよなぜわしを外そうとするがか可笑しゅう思って追いときましたがじゃ悲しいですな戸田さんわしはあんたの事信じちょりました。ええ仕事しよょったわけですね?』

『よー見はっちょったわりには武市先生の教えをちいとも聞いちょりませんでしたね。わしら勤王党が上に向かって剣を放つ時それは暗殺とは呼ばんと先生はおっしゃいました。剣は時代を変える為に使うのだ、時代を変える為に。天は我々に剣を使わせるのじゃと。天が剣を使わせる時それは暗殺とは言わんがです!“天誅いうがじゃ!”天誅じゃこれは天誅じゃ〜のー戸田さん冥土の土産にもう一つだけ教えちゃります!御講義の晩ゆうが今夜の事です、江戸では楽しかったのにのー全部芝居だったがじゃのう。けんど安心しなさってください、おまんだけを死にしゃせんわしが野良犬ならおまんは番犬じゃおまんの飼い主も討ちとっちゃるそれがわしに出来るおまんへの弔いじゃわしはおまんを斬って生まれ変わったこれからは野良犬やない天誅加える日の本の志士になりますがじゃ』

「はじめてでごあんどん」

「勤労感謝じゃ」

「なんで二回言うがじゃ」
「田中さんモテるき〜」

「田中さん良い事言うたの書いとこどこかで使う為に書いとこ」


武市先生の義兄弟の契りの盃を持って来たことに凄く感激するイゾウは毒入りとも知らず おみつとままごとで三三九度の夫婦の盃をかわし.....

「こうしているとほんまに夫婦になったみたいよのう」

幸せ一杯になってはウキウキなイゾウだが三三九度の直後におみつとイゾウは血を吐き

『あんたの川は海にはつながってないき』と言い残し息絶えたおみつを抱き抱え絶叫 

「なんちゃーない!なんちゃーない!ほんまになんものーなった!」 

 武市とイゾウが裁かれ問詰められると「わしは天の指図に従ったまでのことで〜

『武市先生ではございません! やはりやはり天にございます わしには分かりましたがじゃ わしにはよう分かりましたがじゃ わしにはこれまで武市先生が天でございました 武市先生には容童様が天でございました そして容童様には徳川様が天でございましょう みなそれぞれに天がございますけれど容童様天は動くものでございます!!』

『容童様!天は動くものでございます!徳川様とて不動ではごさいません!この空を見ちょればわかりますここに来るまでの船の上でも星は動いちょりました天にばかり仕えておっては必ずや道をあやまります』

『天に尽くす心が必ずや水の泡となります〜』


「犬にも知恵が着きますのう〜あの犬の忠告をよう聞いちょりましたか?〜天は動き続けます!徳川幕府は長くはござらん!」

「コレ!しっかりあるかんか!」「なんちゃないのう〜」「なに〜」「何処へ向こうちゅうがじゃ」「この先じゃ」「お主の首はもうじきこの川原に晒される」「そこから海は見えるかの?」「見えん!お主も知っちょろうが 海はまだまだ先じゃ」「海にはたどり着かがか?」「オレ〜歩け」


「なんの花じゃ?」


「まんさくじゃあの山からまんさくの花が降っときよる」

「お主が花の名前を知っちゅがの?」

「すまんがもしばらくあの花を見ていてもええかの?」「あ〜よかろう」


《わしは上を見過ぎたのう、天は見ず山を見ちょったら良かったがじゃのう、犬じゃと言われて、人になりたがり、人になれれば武士を望み、けんど、誰に何を言われようとわしはそもそも人がったがじゃ、天まで登れるはずのない人がったがじゃ〜 ただ地に足をつけて山を見ちょったら良かったがじゃ。阿呆じゃの〜わしは。犬の如く阿呆じゃのう〜山にはあんなに光の如く黄色い花を満たしちょったっぎ。山は決して動く事無く黄色い花が満たしちょったっぎ。のーお天とう様頼むき!わしの首が宙に舞って真っ赤な血が吹き出したらこの黄色い花びらで覆いかくしてやってくれ!赤い血も黒い土もこの先の世の中が光で満ち溢れるちゅうがの如く〜この黄色い花でかくしちゃってくれ』


長い長い舞台の最後の最高に悲しく切ないイゾウを存分に余り残すことなく見事に表現


声が枯れてしまってる事なんかお構い無しで長い台詞も噛む事無く感情たっぷりと岡田以蔵になりきってた

森田剛は土佐の岡田以蔵さんの生まれ変わり?高知の以蔵の墓の傍らに、享年五十数歳(読めない)岡田義平宣之という人の墓がある。亡くなったのが、以蔵が討ち首になった1ヶ月後の慶応元年6月7日。調べたら父親でした、以蔵は長男として生まれ、罪の重い以蔵の首は3日間も晒されていた。どんな気持ちで父親や弟が見たかと思うとせつなく悲しい

 我が為 尽くす心は 水の泡 消えにし後ぞ 澄み渡るべき